西遊記onTV

実写の西遊記

“西遊記”といえば、映画でもドラマでも娯楽大作です。複雑なプロットとか深遠なテーマとかはありません。主人公サルだし。
 映画やドラマの制作には多数の人間が関わっています。 原則個人の制作物である小説とかマンガとなると、“西遊記”に仮託して、 作者の心理のなにやら奥まった所に沸いているヘンなものを開示しちゃうこともあったりしますが(それが内容的に深いかは、また別の話)、 映像作品ならそういうこともなさそうです。 題材的にも特撮とか大道具小道具とか経費がかさむ(であろう)“西遊記”の場合は、なおのことです。
 つまり映画やドラマの“西遊記”は、その時代その場所でなんとなく共有されている“西遊記”の最大公約数的なイメージを 反映していると言えるんじゃないでしょうか。 という強引な仮説をもって、映像版“西遊記”を列挙してみました(不完全ではありますが)。 時代や国による特徴が見えてくる・・・かもしれません。

ネタバレあり・文中敬称略)


以下、手元にソフトがあるものはそれを参照していますが、ソフトがない場合、あってもクレジットのないものなどは、主にネットソースの情報です。誤りがある場合がありますので、必要であればご自分で資料等を確認なさってください。
出演者の名前は、原則として当該作品に出演当時のものを表記するようにしています。
(配役はこんな感じに色分けで表示しています。出演:悟空,三蔵,八戒,悟浄,龍馬,その他



国内

かなり何度も映像化されています。
戦前では、喜劇王と呼ばれたエノケンこと榎本健一主演の『孫悟空』が有名です。 これは当時の流行りだったオペレッタと呼ばれるミュージカル形式(?)の映画だそうです。 狸御殿とか、そういう感じなんでしょうか。
戦後、日本映画の隆盛期には、坂東好太郎、伏見扇太郎などが孫悟空を演じていた記録があります。 探せば、もっとあるかもしれません。 この2人は時代劇スターらしいので、ちょっと毛色の変わった剣劇モノといった感じだったのでしょうか。 悟空は中華なちゃんばらヒーローのイメージ?
さらに、草創期のテレビでも連続ドラマの“西遊記”が幾度か放送されていた模様。 ただし時代を考えると、映像が残っている可能性はかなり低そうです。 テレビドラマの完全な内容が残っているのは一般に70年代以降の番組で、自分が記憶している範囲もそんなもんですので、 ここではそれらの作品を主に取り上げています。

念のために確認しておくと、日本製の“西遊記”ドラマや映画は、『西遊記』そのものとはかなり違います。 いずれも日本人に受け入れやすい(と思われる)形にアレンジされていて、 いわば日本人の口に合う“日本の中華料理”的な、良くも悪くも日本独自のものです。 小ぢんまりと薄口だけど、安定品質という感じでしょうか。 安定している高さは、作品によってまちまちだったりしますが。
『西遊記』は、たぶん日本ではほとんどの人が知っているけど、実際に読んだ人は少ない本のひとつです。 たいていの人にとって、孫悟空が悪い妖怪をバッタバッタとやっつける話くらいのイメージなんじゃないでしょうか。 そういう大多数の観客や視聴者に受け入れられる、わかりやすいキャラ造形を目指した結果、 映画やドラマの孫悟空は原典をはなれて、その時代に人気のある活劇主人公(武闘派タイプ面白いヤツ系)を体現した性格になっているように思えます。 各作品を並べて見ると、大向こう受けする主人公像の変遷が見えてくるような・・・。
加えて、悟空のセリフは考える必要なく理解できる、まさにサルでもわかるものです。 当たり障りのない、合理性とか客観性とかは度外視した雰囲気的正論を、衒いもなく大声で言ってしまうのは、おサルだからこそできるワザでしょう。 「孫悟空の主張」を並べてみれば、その時々の主流の気分を一望することもできそうです。(本当か?)



  • エノケンの孫悟空

    前後編 (映画) 1940  (73分+67分) 東宝 未見

    監督:山本嘉次郎  脚本:山本嘉次郎  出演:榎本健一 ,柳田貞一 ,岸井明 ,金井俊夫

    元々のタイトルは、単に『孫悟空』だったらしい。


  • 西遊記

    (映画) 1952  (84分) 大映 未見

    監督:冬島泰三  脚本:八尋不二  出演:坂東好太郎 ,春本富士夫 ,花菱アチャコ ,杉狂児

    • 大あばれ孫悟空

      (映画) 1952  (85分) 大映 未見

      監督:加戸敏  脚本:八尋不二  出演:坂東好太郎 ,春本富士夫 ,羅門光三郎 ,伴淳三郎

    • 殴り込み孫悟空

      (映画) 1954  (85分) 大映 未見

      監督:田坂勝彦  脚本:八尋不二  出演:坂東好太郎 ,滝川潔

      同じ主演俳優の連作のようですが、このあたりになってくると、何かもう、“西遊記”とか、あまり関係ない話っぽいです。


  • 少年西遊記

    (改題

    少年孫悟空

    (TVシリーズ) 1953 日本テレビ  (37回)  未見

    演出:青江舜二郎,田島直時他  脚本:青江舜二郎,早坂曉他  出演:堀越ゆたか ,笠間桐子 ,大森春美 ,斉藤晄朗

    日本テレビの開局と同時に放送が開始された生放送のドラマだそうです。 放送時間は何度か変更したらしく、タイトルも途中で変わっています。
    主演していたのは子役たちで、孫悟空役は日本舞踊の家元の家柄。 三蔵法師を女性が演じた最初のTVドラマなんじゃないかと思われます。


  • 孫悟空

    第一部・第二部 (映画) 1956  (61分+63分) 東映 未見

    監督:佐伯清  脚本:棚田吾郎  出演:伏見扇太郎 ,東宮秀樹 ,岸井明 ,大泉滉

    第一部と第二部は、ほぼ同時に公開された模様。 一緒に撮影した、というより1本のストーリーを2つに分けた感じか?


  • エノケンの孫悟空

    (TVシリーズ) 1957 JNN  (30分枠×20回)  未見

    脚本:井崎博之,前田武彦他  出演:榎本健一

    映画版は有名ですが、TVドラマもやっていたようですね。しかし、あまりヒットしなかったのでしょうか? まったく資料がありません・・・


  • 孫悟空Go

    (映画) 1959  (98分) 東宝

    監督:山本嘉次郎  脚本:村田武雄,山本嘉次郎  出演:三木のり平 ,市川福太郎 ,千葉信男 ,中村是好 ,団令子

    不幸な境遇にもやさぐれず、清く正しく生きる角兵衛獅子・・・ならぬ三蔵少年を助ける孫悟空のおじさんという図。 鞍馬天狗に月光仮面、かつて日本の正義の味方は、観客の分身である“よい子”を守ってくれる頼れるオトナだったんですよね。
    紙芝居の中の物語という設定を、舞台の書き割りのようなセットと、円谷英二によるプリミティブな特撮で表現。 『エノケンの孫悟空』と同じ監督の作品だからかレビューっぽいシーンもあったりして、演劇を撮影した映画のような趣向が面白い。単に予算の都合かもしれないけど。


  • 孫悟空西へ行く

    (TVシリーズ) 1964 ABC(テレビ朝日)  (30分枠×26回)  未見

    演出:森美智夫,山崎芳照他  脚本:有麻徹,尼子成夫他  出演:尾上鯉之助 ,林雄太郎 ,丸凡太 ,上田寛

    これも資料が無い。 主演は、名前から察すると梨園関係者?  毎週日曜日の午後3時台というビミョーな時間帯の放送だったらしい。


  • 西遊記

    (TVシリーズ) 1978 日本テレビ  (1時間枠×26回) 国際放映

    企画:早川恒夫  脚本:佐々木守他  出演:堺正章 ,夏目雅子 ,西田敏行 ,岸部シロー

    基本は水戸黄門漫遊記的な勧善懲悪+人情モノ。加えて、数人の若者グループ(マドンナ的存在の紅一点を含む)がワイワイやる70年代の青春ドラマの延長のようなノリもあり。 リーダー格の主人公は普段は愉快なお兄さんながら、一朝ことが起こって乗り出せば、どんな事件もやけに都合よく解決されてしまう。 素朴な昭和のガキンチョの憧れでした。
    ストーリーうんぬんより、道中のたわいない掛け合いが、なんとも楽しかったです。この番組の面白さは、やはりキャストの取り合わせの妙でしょう。


    • 西遊記Ⅱ

      (TVシリーズ) 1979 日本テレビ  (1時間枠×26回) 国際放映

      企画:早川恒夫  脚本:ジェームス三木他  出演:堺正章 ,夏目雅子 ,左とん平 ,岸部シロー ,藤村俊二

      オリジナル・キャストが揃わないなら続編とか作るな、と言いたいです。アンサンブルの良さがあってこその成功なのに。4人のうち1人抜けたら“3/4”ではなく“0”なんだと気づけ。いっそ、全とっかえして別モノにした方がナンボかましです。少なくとも、前作の評判に傷をつけることはないです。
      多少マンネリきてますが(てか、マンネリも仕様のうちなジャンルだし)、ストーリー的には前作とちょぼちょぼなだけに、 八戒の配役って実はものすごく大きかったのだなあ、と個人的に認識させられた番組ではありました。


  • 妖艶西遊記

    (AV) 1988  (60分×3巻) にっかつ 18禁

    監督:堤栄一  脚本:堤栄一,中野貴雄  出演:日高否太 ,風間零 ,川上孝二 ,小室河童 ,白木麻弥

    三蔵法師が正真正銘の女性(尼僧)設定で、彼女を「食ってしまおう」とつけ狙う妖怪たち。 まさに日本ならではの“西遊記”ですね(汗)。
    尺の8割がたはエッチ・シーンです。しかたないとはいえ、従者3人がかなり悪くないだけに、ストーリー部分がもっと見たいという不満が残ります。そう思う客は少ないでしょうけど。てか、自分が使用目的を履き違えているのは重々承知してるんですが。


  • 西遊記

    (スペシャルドラマ) 1993  日本テレビ (3時間枠)

    監督:和泉聖治  脚本:柴英三郎  出演:本木雅弘 ,宮沢りえ ,河原さぶ ,嶋田久作 ,宮崎ますみ

    バブルの残滓のような“西遊記”です。関係者の意向が、愛のままにワガママに反映された結果、ワケわからんことになってしまったような印象。本当のところは知りませんけど。
    何はともあれ、ロケ地の砂漠がキレイです。


  • 西遊記

    (TVシリーズ) 1994 日本テレビ  (1時間枠×17回・初回2時間SP)

    プロデュース:小松伸生  脚本:柴英三郎他  出演:唐沢寿明 ,牧瀬里穂 ,小倉久寛 ,柄本明 ,柳沢慎吾 ,余貴美子

    悪の軍団と戦う特撮ヒーローか戦闘アニメの熱血主人公みたいなヤンチャ系孫悟空、スーアク経験あり。 敵のラスボスは、なんか知らんがとにかくものスゴく悪い、理屈じゃないんです的存在で、なぜか巨大な目玉。流行ってましたよね、このパターンも。
    デジタル処理の出始めくらいで、当時としてはがんばったんであろう画が、今となっては却ってショボさを発散しちゃってます。


  • 西遊記

    (TVシリーズ) 2006 フジテレビ  (1時間枠×11回・初回2時間SP)

    演出:澤田鎌作  脚本:坂元裕二  出演:香取慎吾 ,深津絵里 ,伊藤淳史 ,内村光良 ,水川あさみ

    悟空は精神年齢一桁の自然児キャラ。薄バカ天真爛漫な行動でしばしば周囲を呆れさせるが、大切な“ナマカ”を守るためなら驚異的な力を発揮し、ついでに暑く説教もたれる。 週間少年ジャンプの王道パターンですな。 仲間がそんなに大切なら、とりあえず正しく発音しろというツッコミは、無い方向で。


    • 西遊記

      (映画) 2007  (120分) 東宝

      監督:澤田鎌作  脚本:坂元裕二  出演:香取慎吾 ,深津絵里 ,伊藤淳史 ,内村光良 ,多部未華子

      何はともあれ、ロケ地の砂漠がキレイです。



アジア

国内で日本語環境(字幕または吹き替え)で見ることのできる(できた)ものを取り上げています。 劇場未公開DVDとかCS放送とか、細かく探せばまだあるかもしれませんが。
アジアといっても、今のところ中国本土と香港の作品のみです。 台湾なども含め中国語圏では、“西遊記”モノはかなりの数作られているようですが、 日本に入ってくるのは、ごくわずかしかありません。 華流じたいが、中国の歴史ものとか武侠ドラマなど一部では人気があるものの、 韓流に比べるとメディアの扱いもまだ小さいですし。(そういう自分も、主に香港映画の話題作をたま~に見るくらいですが。)
というか、韓国も“西遊記”文化圏に入ると思うのだけど、映画とかドラマとかはないんでしょうか。 ゲームでは“西遊記”モチーフのものがあるので、子供向けというとらえ方なのか?  あるいは自分が韓流に詳しくないので知らないだけで、実はけっこうあるけど日本に輸入されないんでしょうか。 あるなら見てみたいものです。華流とも和風ともテイストの異なる韓流“西遊記”。
(『西遊記リターンズ(Super Monkey Returns)』という韓国映画が2010年に製作されたようですが、 わりと低年齢層向けっぽかったし、韓流の客層とはズレてるっぽいから、日本公開はないだろーなー。)

↑なんと、日本でもDVD発売決定らしいです、『西遊記リターンズ』。韓流強し。


※ちなみに管理人は、あくまで“西遊記”の追っかけなので、中華圏の(韓流もだけど)監督や俳優さん他芸能一般に詳しくありません。 そういう人間が作っていることを御承知おきのうえご覧ください。


中国、香港、台湾の日本未公開映画とTVシリーズについては、コチラを参照ください→中華圏の西遊記(補足)Go
    中国本土

    本場中国での本格的テレビドラマ西遊記としては、六小齢童版が日本でも知られています。・・・とりあえずマニアの間では知られているんじゃないでしょうか。
    その後も綿々と何作品も作られているそうで、VFX等映像的にはかなり進歩しているみたいですが、日本には入ってきていません。 まあ全部見るのも、少々シンドイですし。 中国製“西遊記”って、なんか肩肘張って堅苦しい(ような気がする)んですよね・・・。
    ちなみに、2011年版のドラマは宣伝用の映像を見るかぎり、かなりリキの入った作品のようです。 CGをふんだんに使って作り出した“西遊記”の世界はなかなか雄大で迫力があり、ビジュアル面では一昔前の中国ドラマとは隔世の感があります。これは、ちょっと見てみたいかも。まあ、最終的にはストーリー(+演出、演技)なわけですが。



  • 西遊記

    (TVシリーズ) 1984  (1時間枠×25回) 中国中央電視台

    監督:楊潔  出演:六小齢童 ,汪粤 ,徐少華 ,遅重瑞 ,馬徳華 ,閻懐礼 ,王伯昭

    原作本を読まずに『西遊記』のあらましを知りたいのなら、コレを見てください。てか、コレ以外はダメです。
    ただし、活字が死ぬほど嫌いという人でなければ、その時間を使って本を読むことを(個人的には)お勧めします。


    • 続西遊記

      (TVシリーズ) 1998  (1時間枠×16回) 中国中央電視台

      監督:楊潔  出演:六小齢童 ,徐少華 ,遅重瑞 ,崔景富 ,劉大剛

      帰郷した一行の回想形式で語られる続編。
      とはいえ、八戒と悟浄は別人です。オリジナルキャストが半分しかいないのでは、もう別作品といいたいところですが、 この作品についていえば、あまり気になりません。三蔵役なんて、同じシリーズ中でもコロコロ変わってますし。 元々、登場人物に生身の人間的な愛着を感じさせないというか。 ミッ○ーマウスは中に誰が入っていても、マニュアルに則って振る舞っているかぎり○ッキーマウスであるのといっしょ、みたいな。


  • 香港

    英国領時代に独自の映像文化が花開いた香港。 その独特な作風は“西遊記”モノでも遺憾なく発揮されています。いろいろチープだけど、とにかくパワフルでフリーダム。 ストーリーの大幅改変はあたりまえ、さらに先行作品でウケた要素を臆面なくパクッオマージュしているあたりは、さまざまな傍系物語を吸収しながら膨張発展してきた“西遊記”本来のあり方に通じると言っていえないこともないような、あるような・・・。
    ツッコミどころ満載ながら、こと仏教に対する姿勢は(日本製に比べて)存外真摯だったりもします。 悟空は(時には三蔵や八戒が)自らの感情と信仰の板ばさみとなって、けっこう過酷な運命にさらされもするのですが、そこで意地でもおばかギャグをやってしまうのが香港流。 悲劇と喜劇は紙一重というか、追い詰められてジタバタしている本人は悲壮でも、傍目には滑稽というのは、まあ一面の真理ですよね。そのへんの描写に成功すると、香港映画(またはドラマ)は笑えて切ない傑作・・・とまではいかずとも珠玉作くらいにはになるような気がします。 やり損なって、目も当てられないことになってるものも多いのですが。

    香港の“西遊記”といえば、60年代に大手映画会社ショウ・ブラザースが製作したシリーズがあって、 これが4作くらいあるらしいのですが、日本に入ってきたことはない模様。残念・・・。
    ここに取り上げた比較的最近のものでは、映画もドラマも90年代半ばの作品がピークで、以降パワーダウンしちゃってる印象です。 ここにきて超大作3D映画『大閙天宮』の製作が発表され(2012年公開予定)、さらに『チャイニーズ・オデッセイ』の続編の企画もありとか(延期、延期で本当にクランクインできるのか不透明っぽいけどクランクインしたらしいです。でも、この期におよんで配役が二転三転、極秘主義で誰が孫悟空を演じるのかも明言してないらしい)、巻き返しを期待したいところではありますが、どうなるんでしょうか・・・それ以前に、日本で見られるのか? ←2013年旧正月に中華圏で公開されましたね『西游・降魔篇』。 大ヒットらしいので、日本公開の可能性もかなり有りそう、少なくともDVDレンタルは期待できるかと。



  • チン説西遊記Go

    (香港ポルノ?) 1988?  (80分) 新東宝(配給) 18禁

    詳細不明

    ナゾの作品です。原題すらわからないので調べようがありません。最大の謎は、何故これが字幕まで付いて流通しているかです。
    一応、話の基本はフツーに“西遊記”です。妖怪が善男善女を困らせる悪事=“エロいこと”なだけで。 もぉ、悪行三昧ですよ~~~


  • チャイニーズ・オデッセイGo

    (PARTⅠ月光の恋,PARTⅡ永遠の恋) (映画) 1995  (83分+94分) 彩星電影公司

    監督:劉鎭偉  脚本:技安  出演:周星馳 ,羅家英 ,呉孟達 ,江約誠 ,朱茵 ,莫文蔚 ,藍潔瑛

    (原題:西遊記第壹佰零壹回月光寳盒 ,西遊記大結局之仙縁奇縁)

    「と~き~を~、かけるおサル~♪」・・・一言で言うと、そんな感じ。 タイムリープというモチーフだけでなく、ちゃっちい特撮とか、そんなことどーでもよくなっちゃう胸きゅん(笑)なラストとか。
    ストーリーは“西遊記”とはほぼ別モノ。別名“大話(ホラ話って意味らしい)西遊”ですから。 うっかり見ていると、けっこう混乱します。
    とはいえ本編の大部分はしょーもねーギャグ大安売りな、周星馳的おばか映画です。 でも、星馳の孫悟空はカッコエエぞ。そして三蔵法師、最高!


  • 西遊記Go

    (TVシリーズ) 1996  TVB(1時間枠×30回) 

    プロデューサー:劉仕裕  出演:張衛健 ,江華 ,黎耀祥 ,麥長青 ,湯俊明 ,龔慈恩

    なんといってもキャスト一人一人がすごく良い。 そのうえチームとしても互いにひきたて合える、カンペキと言いたくなる布陣が見どころです。
    シナリオは原典にあるエピソードを元にしつつ、かーなーり奔放にトバシてます。 アラも目に付くけど、物語のパワーというか勢い(演技演出等も含め)に押し切られて、まっいーか、となっちゃいますね。
    あと特筆すべきは、八戒の設定がオリジナル要素大ということでしょうか。面白いけど、時間経過に無理があるような・・・まっいーか。


    • 西遊記(貮)

      (TVシリーズ) 1998  TVB(1時間枠×42回) 

      プロデューサー:劉仕裕  出演:陳浩民 ,江華 ,黎耀祥 ,麥長青 ,蓋鳴暉

      オリジナル・キャストが揃わないなら続編とか作るな、と言いたいです。アンサンブルの良さがあってこその成功なのに。4人のうち1人抜けたら“3/4”ではなく“0”なんだと気づけ。いっそ、全とっかえして別モノにした方がナンボかましです。少なくとも、前作の評判に傷をつけることはないです。(デジャヴ・・・)
      ただ、この番組に関しては、それ以前にストーリーがグダグダなんで、キャスト変更のおかげで脚本のクオリティのダダ下がりを多少ともごまかせちゃってる感もあり。なんだかなぁ。


  • 西遊記+孫悟空・続西遊記

    (TVシリーズ) 2002  TVB(1時間枠×40回) 

    プロデューサー:楊登魁  出演:張衛健 ,梁漢文 ,葛民輝 ,李燦森 ,許志安 ,林志穎

    (原題:齊天大聖孫悟空)台湾との合作

    オトナの事情(?)で前出の『西遊記』シリーズを降板した張衛健が当たり役孫悟空を再び演じ、 アジアのスターが結集したドラマ、なんだそうです。そのせいか登場人物がむやみに多い。 悟空以外キャストも一新、設定も一新なので、前作とはまったくの別モノです。 つまり何がどーなっても前作に影響なし。もしかすると、そのことが最大の美点だったりします。
    取経の一行は新メンバーも悪くないけれど、やたら大量のキャラクターのせいで霞みがち。 原題の通り、あくまでも“齊天大聖孫悟空”であって“西遊記”ではない、つまり悟空を中心にした周囲の人々の物語なんですね。にしても、キャラを捌ききれておらず散漫で冗長な印象。


  • 西遊記リローデッド

    (映画) 2005  (103分) 英皇影業有限公司

    監督:劉鎭偉  脚本:技安  出演:謝霆鋒 ,陳柏霖 ,關智斌 ,張致恒 ,蔡卓妍 ,范冰冰

    (原題:情癲大聖)

    物語的には『チャイニーズ・オデッセイ』2部作の後日談、広い意味での続編となるようです。
    三蔵一行に人気の若手アイドル俳優をそろえたイケメン西遊記・・・ たしかにキャスト全とっかえではあるのですが、なんか違う。
    てゆーか、この映画はキャスト以前に問題がある気がします。 今までこういう映画を撮る人がいなかったのは、これが誰も思いつかないほど素晴らしいアイディアだからではない、ということを監督に進言してやる人間はいなかったのだろうか? ・・・どこかの巨匠が撮った『竹取物語』でも感じたギモンですが。


  • 韓国

    地理的、歴史的にドップリ“西遊記”文化圏であるはずの韓国。 近年、韓国発のサブカルチャーが怒涛の勢いで入ってきているわりに、“西遊記”絡みの情報は多くありません。 とりあえずゲームなど、二次元方面というより、低年齢層向けのコンテンツが多い印象。
    そういえば韓国では、“沙悟浄”が人の話を聞かないヤツの代名詞になっていると読んだことがあります(裏を取っていないネット情報ですが)。 これもマンガかアニメが由来らしい。 ですが、とにかく“西遊記”の題材が、広く一般に根付いているということではあるでしょう。 それと国境を超えても、独自設定を付加せずにはおけない悟浄のキャラの薄さはガチ。
    何はともあれ、韓国版“西遊記”なんてキッチュな代物(日本版もたいがいですけど)を日本語(字幕)で見ることができるのは、韓流ブームの恩恵と言うほかないでしょうね。 レンタルショップで香港映画のスペースが韓流ドラマに侵食されていっても、悪いことばかりでもないというべきか(てか、他の場所を減らせよー、いやホント、お願いします)。



  • 西遊記リターンズ

    (映画) 2011  (79分) 

    監督:シン・ドンヨプ  出演:キム・ビョンマン ,ミン・アリョン ,リュ・ダム ,ハン・ミングァン ,キム・ワングン

    遺伝子工学で現代に蘇った孫悟空たち・・・というより、“西遊記”モチーフの戦隊ヒーローもの。 いろいろユルい作りです。
    三蔵は(強引に)やっぱりヒロイン・ポジション。 三弟子を演じているのはお笑い系の人らしい。 笑えるかどうかは別として、各々それなりに役にハマってました。
    あきらかにお子様向けです。 何も期待しないで見るくらいでちょうどいいかと。



欧米

やはり日本国内で見られるものオンリーとはいえ、米国製しかありません。 まあ、ヨーロッパ映画って“西遊記”的なものとは対極の存在ですし。 それも日本人が勝手に抱いているイメージかもしれませんが、 たとえ欧州製“西遊記”が存在したとしても、日本公開は期待薄ですね。 ミニシアター系でウケるとは思えません。 というより、あらゆる題材を貪欲に取り込んで消費していく米国のショービズの方が開放的というか、見境ないというか・・・。

ちなみに英語作品では、孫悟空のことは“モンキー・キング(Monkey King)”と呼ぶのが一般的なようです。美猴王ってとこですね。省略して単に“モンキー”とも。 猪八戒は“ピグシー(Pigsy)”、まんまブタさんか。 沙悟浄は“沙”=砂から“サンディ(Sandy)”。日本人のイメージ(=カッパ)からははなれていますが、悟浄の前身は砂漠の怪だったとも言いますし。 または“サンド・モンク(Sand Monk)”、これは沙僧の直訳って感じですか。 そして、三蔵は“トリピタカ(Tripitaka)”、三蔵(経)のことらしいです。
英語以外の事情についてはわかりかねますが、某動画サイトに上がっていた中華圏のドラマの吹き替え版(言語不明)では、悟空をそのまま“ウコン(と日本人には聞こえる=Wukong)”とか呼んでいました。こっちの方が自然な気がしますよね。


※ちなみに管理人は、映画通とかでもありません。 しつこいようですが、そういう人間が作っていることを御承知おきのうえご覧ください。


    米国

    孫悟空など一部のキャラクターやモチーフを流用して、まったく別の物語にしてしまっています。 本来の西天取経の物語の前、あるいは後に時間を設定していて、三蔵法師すら登場しません。 宗教的なテーマが回避されているものと思われます。
    その孫悟空もメインではなく、主人公兼視点人物となるのは、何らかの理由で(てゆーか真っ当な理由もなく)オリエントの神秘世界に迷い込む白人男性です。 いわば三蔵法師のかわりであり、人間代表とでもいうべきポジション=スタンダードな視聴者像ということでしょうけど。
    モーゼが十戒を授かる話ならいいんかい? というツッコミはぐっと呑み込み、 ヘンテコな儀式やお手軽な修行、安い精神主義的神秘描写等の勘違い東洋趣味に目を瞑れば(日本人なら慣れっこです)、 それなりに楽しめます。 何でもありのブッ飛び具合が、ある意味、“西遊記”らしいかと。

    などと思っていたら、ネタ枯れハリウッドがついに“西遊記”を本格的に映画化らしいです。 タイトルは『Journey』、3D超大作、しかも3部作予定とか。 元ネタにどの程度忠実な作りになるのかわかりませんが、 宗教的要素はどう処理するんでしょうね・・・けっこう楽しみです。こわいモノ見たさもかなりあり。



  • モンキー・キング

    西遊記Go (TV映画) 2000  (168分) 

    監督:Peter MacDonald  脚本:David Henry Hwang  出演:Thomas Gibson ,Russell Wong ,Eddie Marsan ,Kabir Bedi ,Bai Ling

    (原題:THE LOST EMPIRE)独との合作

    公私ともに煮詰まった中国文学研究者の主人公が、観音菩薩の求めに応じて、地下に再現された過去の中国(?イミフすぎる)に召喚され、人類の進歩と自由を守るため、悟空、八戒、悟浄と共に『西遊記』の原書と作者の呉承恩を救う。武器は変な修行をして手に入れた巨大な筆、戦いの場は法廷・・・もう、何がなにやら。カオスっぷりは、それなりに楽しいですが。
    西洋人の(妄想中の)東洋的スピリチュアル世界への憧れ(てか、萌え?)と西洋的なテーマ主義がごった煮になって、ちょっと消化不良な印象。 もっと突き抜けちゃったら、ずっと面白くなったかもしれないんですけどね。


  • ドラゴン・キングダム

    (映画) 2008  (105分) 

    監督:Rob Minkoff  脚本:John Fusco  出演:Jackie Chan ,Jet Li ,Michael Angarano ,Liu Yifei

    (原題:THE FORBIDDEN KINGDOM)

    カンフー映画オタクのいじめられっ子主人公が如意棒に導かれて西遊記(なのか?)の世界に迷い込み、カンフーマスターの下で修行、勇者と共にファンタジー世界救う。 『ネバーエンディング・ストーリー』と『ベスト・キッド』を同時にやれて一挙両得、なーんてリーズナブル、みたいなお話です。 当然、ラストはいじめっ子に逆襲、てか、強くならないワケがない。
    どってこともないジュブナイル映画ですが、レビューサイトの星が妙に多かったりすることがあるのは、JackieとJetの初共演で一部カンフー映画ファンに支持されているから。 その人たちは2人の記念すべき初めての共演が、ダブル主演どころか、こんなダブル脇役みたいなんでいいんでしょうか?


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